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東北住建 株式会社は、住宅やビルの建築材料や施工を販売する会社です。

TEL. 019-638-4111

〒020-8678 岩手県紫波郡矢巾町流通センター南3-3-1

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■2014年 年頭所感 東北住建且ミ長 木村 雅美


 新年明けましておめでとうございます。旧年中に賜りましたご愛顧、ご高配に心から厚く御礼もうしあげます。こ
の新しい年に、いっそうのお引き立てがいただけますよう、社員一同が知恵を絞り、汗をかき、心をくだきます。ど
うかよろしくお願いもうしあげます。

 沿岸被災地で眼前に広がる悲劇的な光景は、大自然の猛威による「強制減築」です。この地域では大震災の襲来以
前から過疎化が進行中で、代々の首長さんたちの懸命の努力にもかかわらず、人口減少が止まりませんでした。市町
村長さんたちの喫緊の最重要課題は、この大震災による一層の住民流出をどう抑制するかでしょう。

 地球規模で環境問題を考えると、人口減少は悪いことではありません。人口の多寡がストレートに経済力との相関
性で論じられると、「生めよ、増やせよ」論が勢いづきます。しかし何はともあれ、我が国の人口動態からして不可
避的な人口減少を見据え、このままでは消滅しかねない地方都市の社会改革を考えることは、現実的に重要だと思い
ます。

 ある地域での人口の大幅な減少は、その地域の再編、再構成を強います。それはコンパクトシティ化といわれます
が、生活の利便性に富み、社会的な効率性の高い、住みやすい町への再構築は、住民流出を抑制し、集住を再び可能
にするための基本条件の一つです。コンパクトシティ化の全国津々浦々での展開は、国民経済の活性にもなるでしょ
う。

 総務省の2008年10月のデータでは、住宅ストック総数が約5759万で、総世帯約4997万に比して約1
5%多いとあります。昨年末でストック総数が6000万戸前後、総世帯数が5200万前後とすれば、現在の余り
具合はまだ似たようなものでしょうが、核家族数に加え単独居住者数も減じるようになると、空き家問題の深刻さが
一気に加速度を増すはずです。

日本の人口減少は少子化を主因として緩やかに進行中です。昨年初に出た国立社会保障・人口問題研究所の将来推
計では、2020年過ぎには核家族世帯数が減少に転じ、2030年過ぎには単独居住者数も減じるとあります。2
040年ころに総人口が現在よりも約2000万人減って1億700万人前後となれば、総世帯数は4900万を割
るでしょう。

 そこで「減築」が不可避となります。しかし空き家、空き地の集約化は基本的人権(財産権等)が絡むので、強制
が困難です。遊休地の流動化を支援する遊休土地制度や土地活用バンクは存在しますが、現状では個人の住宅の減築
を促す補助金もなければ、自治体保有の施設等の除去にも国庫の支援がなく、供用廃止後の施設の多くが放置された
ままです。


 津波被災地での復興が遅れる主因の一つに、現行法制下での土地収用の難しさがあります。昨年11月に岩手県と
岩手県弁護士会
は共同で、土地の収用手続きを改める独自の制度案をまとめ、国や政党に提案し実現を求めています。与党、政府の反応が今イチだという話もありますが、「減築」問題を見据え、思い切って敢行することが必要です。 

 自然の猛威によって「強制減築」された沿岸被災地は、将来全国で起きるコンパクトシティの先行モデルになりま
す。土地所有権の集約を促すための法制度の見直し、集住を促す住民対策、新生活での様々な保障、それを実現する
ための制度的な強い支援等、いずれ全国各地で直面することになる諸問題への対応策をここで組み立てられるはずで
す。

 あの大震災では防災対策面での不備に加え、電力、ガス、ガソリン、水道、屎尿処理、食料、生理や介護の用品類、医療機関等で生じた諸問題が深刻でした。エネルギー関連で、既存の大インフラに過度に依存しない仕掛けが有効だ
ということも痛感しました。大量消費増が前提の、効率本位のコンビナート社会は、環境変化への迅速な適応に不向
きです。

「強制減築」という災禍を好機に転じるコンパクトシティ造りでは、その町自体に、市民が暮らす上での自律的でム
ダのない仕組みが盛り込まれるべきです。飲み水や食料、電力の自給度、廃棄物や汚物の処理では様々な工夫が可能
でしょうし、愛する町を守るために、行政と住民活動とが相互補完的に積極連携し、行政負担の軽減をはかるべきで
す。

 コンパクトシティでは町域全体として、生活の利便性、快適性を高めつつ、民生用エネルギーの消費を効率的に極
小化するべきです。戸建住宅の場合、建築費が15〜20パーセント高くなるかも知れませんが、「冬期無暖房の1
00年住宅」の建築が既に可能です。電力消費量を1990年レベルまで減らせれば、民生用が現在よりも約20パ
ーセント減になります。


 原子力や石炭火力による電力の消費量が大きく軽減できれば、再生エネルギーへの依存度を安心して増すことがで
きます。太陽光や風力、地熱等による発電機能を備えた新しい町の創造は、地球温暖化対策で効果的なだけでなく、
エネルギー輸入を減じ、貿易収支を改善させ、日本の安全保障面でも好い影響を大きくもたらすはずです。

 被災市町村の首長さんは、復旧しても過疎化を心配しなければならない現実を直視し、災禍を被らなかった地域ま
でも視野に入れ、22世紀視点での町場の再構成、ビジョンを明確に打ち立て、民意の賛同を得る必要があります。
「強制減築」という災禍は、過疎化地域の将来像を考え、復興というかたちで、希望のある未来を手に入れるチャン
スです。

 論旨から少し外れますが、オール電化住宅の利便性、快適性を認めつつ、生活で消費するエネルギーのほとんどを
電力に依存すると、結果として電力使用量が増加しがちなことを忘れてはならないと思います。家庭で使用する一次、二次エネルギーレベルでのベストミックスがどうあるべきか、根拠と権威のある示唆、提言が早急に必要だと思いま
す。

 また日本のエネルギー消費で民生部門が3割を超え、その増加をまかなうために原発が必要だという誘導には従い
かねます。繰り返しますが、温熱性能の要求基準ですこぶる高いものを明示し、そこを目指した家造りをしっかり奨
励することが、民生部門のエネルギー消費を大きく減じ、自然エネルギーへの転換促進にすこぶる効果的なはずです。

本題に戻り、少子化で一人っ子どうしの結婚が増え、彼らは二親からそれぞれ住宅を相続することになります。そ
こで相続する2戸を減築し、「冬期無暖房の100年住宅」1戸に建て替えることとします。それで毎年120万戸
が減築され、60万戸に建て替えられると、40年間で4800万戸が減築され、代わりに2400万戸の高性能住
宅が生まれます。

 現在の住宅ストックが6000万戸程度と見込まれるので、40年後にはそれらが80%も減築されることになり
ます。内閣府による2050年ころの推定人口は9700万人で、1世帯あたり人員が2.2人と仮定すれば、必要
戸数は4400万戸です。中古住宅流通も考慮し、減築せず1200万戸+建替2400万戸+新築1000万戸と
なれば、バランスがとれるでしょう。

 毎年、建替60万戸+新築25万戸、計85万戸の高性能住宅誕生という需要は、現在の住宅供給力に見合い、そ
れが向こう40年間あると見込めれば、大工職等での後継確保にも効果的です。居住への不満度は相変わらず高いと
感じるので、少子化で内需振興のネタを欠きがちな時代に、このボリュームの住宅需要は大きな経済波及効果をもつ
と思います。

 少子化による人口減少が続く限り、常に老人が多く、若い人が少ない状態が続きます。社会保障制度の維持のため
に、増税傾向も続き、各世帯の可処分所得も減っていくでしょう。冬期無暖房的な高性能の、建替住宅、新築住宅に
住めば、現状で月額3〜5万円の温熱費節減になるとの試算があります。これは家計費の軽減に大きく有効でしょう。

 弊社でも工務店さまによる断熱改修をしばしばお手伝いしますが、これは手間のかかるわりに十分な温熱効果を上
げるのが難しく、徹底しようとすれば新築と大差のないコストがかかります。省エネ性能の確保や経済的な波及効果
を考えれば、リフォームを奨励するよりも建替や新築を求める方に軍配が上がるはずです。


 リフォームによる住宅の省エネ化で補助金が出ます。それ以外にも色々な名目で住宅関連の補助金が出ていますが
、それらをまとめて極力一本化し、上述の高性能な建替や新築の場合に集中して大きな補助金が給せられるべきです。この補助金は高度省エネ社会の実現という形で、将来的に国庫支出を大きく抑制する形のリターンも生むはずです。
 

 我が国では段階的に省エネ基準が引き上げられるので、基準が改定されるたびに、旧基準での適合住宅が新基準で
は陳腐化住宅となります。この矛盾、資源浪費問題を回避するために、政府は今世紀最後の省エネ基準を早急に強く
明示すべきです。それは冬期無暖房住宅レベルのようなものになるでしょうが、上述一連の建替、新築の促進に有効
です。


 昨年の中央公論12月号で、元岩手県知事の増田寛也氏が、少子化による人口減少と人口の東京一極集中化が相乗
し、地方都市の消滅と東京圏での超高齢化が起きつつあると強く警告しています。東京オリンピックへ向けてカネと
ヒトとの東京集中が起きれば、地方と東京圏の格差が一層拡大し、オリンピック後は東京がバブル崩壊に陥るでしょ
う。

 東京は人口の再生産を担う若人を強力に吸い寄せながら、その若人による出生率を地方よりも大きく減衰させる都
市だとあります。30年後になるか60年後、それ以降になるかはともかく、少子化の底打ちのために地方の活性は
不可欠です。増田氏は地方の中核都市への資源集中に希望を託しますが、もう一回り小さい町にも目を向けたいと思
います。

 行政負担が軽く、家計費も安くすみ、大都市民との所得格差があっても住み心地の好い町、幸福感のある日常から
愛する気持ちになれる町づくりをどうするか、父祖伝来の地場産業を中核に、生産の集約化や付加価値化で産品の商
品力を上げることができないか、そこで若年者の雇用が確保できれば、人口流出が抑制されるのではないか等、色々
考えます。

 ここまで述べてきたことは、日本が抱える構造的な問題へのごく断片的な提起にとどまることを認めますが、沿岸
被災地の復興が全日本規模での将来に、先行的に深く関わっていることを指摘したいと思います。このことは、陸前
高田市や山田町に行き、原っぱ化した「強制減築」地を見るたびに強く感じます。

 ここで上手くやれば、人口減少に大きく抗するだけでなく、高度な省エネ性能を有し、100年以上の耐久性を持
つ3400万戸の高質住宅を、有用な社会資本として、21世紀が22世紀にプレゼントできます。眼前に展開しつ
つある復興がこのような好機をどれだけ認識しているのかはなはだ疑問です。そこへ資することの乏しい我が身の非
力を恥じます。


                                                   以上




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